男女二人組ロックユニット。
ハスキーでオンリーワンな松尾の歌声と、ブルージーで情感深く鳴らす亀本のギターが特徴。
Vocalist/guitarist Remi Matsuo (born December 7, 1991) and guitarist Hiroki Kamemoto (August 24, 1990) organized this rock unit.
Remi Matsuo was attending high school in Nagano prefecture in 2007 when she put together GLIM SPANKY to play at a school festival. Later, Kamemoto, an upperclassman of Matsuo’s from the same high school, joined the group. Other members left the band to continue their education, and for other reasons, and the current configuration was formed.
After the band made it to the finals of the Senko Riot band contest, known as a gateway to success for teenage bands in Japan, and suddenly received a great deal of attention from the music industry, they made the move to Tokyo. After releasing the mini album MUSIC FREAK in 2013 from an independent label, they made their major debut in 2014 from Universal Music’s Virgin Music label with the mini album SHOSO [Impatience]. Later, the band began showing signs of long-selling potential, as Remi Matsuo’s cover of Janis Joplin’s MOVE OVER became much talked about when it was used for a television commercial for the Suzuki Wagon R Stingray, and the band’s first album, SUNRISE JOURNEY, released on July 22, 2015, reached #3 on the iTunes Rock Album Ranking. This year, the band performed on the Red Marquee stage for the first time at the Fuji Rock Festival, Japan’s largest rock festival, and even though it was a morning performance, the band rocked a large crowd that filled the venue.
The band’s distinctive qualities are Matsuo’s bluesy and powerful vocals, and Kamemoto’s commanding presence on the guitar. While paying homage to the golden age of authentic rock, their collection of songs infused with a youthful essence and teeming with originality have received high praise from many of Japan’s top musicians and celebrated cultural personalities.
The band members’ ambition is to present their Japanese-language songs to the world at large. Currently, they are one of the up-and-coming rock bands getting the most attention in Japan.
それは確かに耳元で聴こえている声なのに、見つめた闇の向こうからこちらを見つめ返す視線のようでもある。雨上がりの夜の、むせ返るようなアスファルトの匂いを伝えたかと思えば、突如として幻のサーカスを描き出してみせる。ハスキーな声色はすでにブルースの魂を存分に宿していて、相棒のようなギターはうねりの咆哮を上げながら、迷信みたいにこちらの心を捉えようとかかってくる。
「焦燥」....それは今まさに我々の前へ姿を現すGLIM SPANKYの精神性と存在意義を、ある意味とても端的に象徴しているワードだと言っていい。GLIM SPANKYは松尾レミ(22)と亀本寛貴(23)のユニットである。二人は共に長野県の出身で、同じ高校に通っていた。出会いの発端は松尾の呼びかけで結成されたバンド(※当時は四人組)だった。名前はその時から今日まで同じ。つまりGLIM SPANKYとは、二人にとって生まれて初めての、そして今のところ人生で唯一のバンドでありユニットなのである。
松尾は父親が音楽とサブカルチャーに精通していたことから、1960~70年代のいわゆるレジェンダリーなロックをはじめ、一通りの洋楽と邦楽が鳴っていた環境で育った。一方、サッカー少年だった亀本は、もっと自分が打ち込める物を求めてギターと出会い、洋楽を中心にロックを掘り下げ始めた。
ビートルズ、フー、ホワイト・ストライプス、レッド・ツェッペリン、ジミ・ヘンドリクス、ジョニ・ミッチェル、ザ・バンド、ブラック・サバス、レディオヘッド、アークティック・モンキーズetc.……様々なフェイバリットが二人の口から挙がる。松尾はバンドを始めると早々に曲を書き始め、亀本は彼女の曲と歌を最大限に活かすギターを心掛けることで、自身のギタースタイルを確立していった。
GLIM SPANKYのメジャーデビュー曲となるこの「焦燥」は、松尾が17歳の時、生まれて初めて他者に聴かせることを意識して書いた曲だという。
前述の通り、「焦燥」が彼らの精神性であり存在意義の象徴だとするならば、カップリングの「MIDNIGHT CIRCUS」は、GLIM SPANKYという名前の起源を具現化した、幻惑的なタッチが冴え渡るナンバーである。
彼らが口にするフェイバリットたちがそうであるように、ロックのサウンドは常に独自のグルーヴで構築されている。GLIM SPANKYのそれは、一度聴いたら忘れられない松尾の声色と、初期衝動をクールかつソリッドに奏でつつ、時にはもう一人のヴォーカルのように“歌う”亀本のギターとが絡み合って生まれている。しかも今回はハマ・オカモト(OKAMOTO’S)とBOBO(くるり、MIYAVI etc.)の参加によって、その魅力は一層増幅されている。そしてもっと言えば、この盤石なリズムと抜群の相性を誇っている事実こそが、翻ってGLIM SPANKYの楽曲が持つ高い完成度を、すでに証しているとも言える。
近年、海外ではジェイク・バグやザ・ストライプス、日本ではTHE BAWDIESやOKAMOTO’Sといった面々が、自身の世代感というフィルターを通した貪欲なまでの温故知新から、幅広い世代を唸らせるロックをドロップしている....疾走する焦燥、新しい王道。ロックのオーセンティックな魅力とアートの物語性を兼ね備えたGLIM SPANKYの登場は、ムーブメントの現状に鮮烈な一石を投じることになるだろう。